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次世代Web 7つのポイント

先日、立て続けにセミナーに参加し、改めて今後のWebのあり方について考えさせられました。「これからのWebのあり方について考えてみた。」を書いた時にはまだ知らなかった事実もあるので、要点のみにフォーカスして、もう一度まとめてみます。

新しい技術への姿勢

Developers Summit 2010「次世代web標準 html5 最新動向」では、HTML5に関する初歩的な内容から実践的な内容まで、広く深く学べる貴重な時間を過ごせました。とくに矢倉氏が話されていた「勧告が先だからといって諦めるのではなく、実装されている機能を活用していこう」というお話はとても共感できました。私も以前「私たちがWeb世界を作っているということ。」という記事で「ただ普及するのを待っているだけではなく、新しい技術や考え方があるのなら、どんどん取り入れていこう」と述べましたが、やはり今のWebにはそうしたアクティブな姿勢が求められているのだと思います。

整ってきている条件

これは単なる理想論なんかではなくて、実際にSafari(モバイル含む)のWebKitエンジンでは、HTML5、CSS3の新機能がほぼ完全に実装されています。つまり、モバイル版Safariしか選択肢がないiPhoneにおいては、事実上HTML5とCSS3が標準プラットフォームになっているということになります。それを踏まえると、iPhoneを代表するスマートフォンの普及、iPadという新基準デバイスの出現、これだけでもかなりのインパクトがあります。

また、「When can I use...」というサイトで「HTML5の実装状況」や「CSS3の実装状況」を見て分かる通り、Internet Explorer(以下IE)を覗くモダンブラウザではほとんどの新機能が実装されていることが分かります。Microsoftの次期ブラウザである『IE9』が標準技術に積極的な意向を示していること、IE6のシェアが下がる一方であることを加味すると、新機能を実装するための"条件"が整いつつあることが分かります。

IE6への対応

しかし、現実問題としてIE6などの古いブラウザを無視できないというのも事実です。以前「CSSのあり方について考えてみた。」という記事で「ターゲット外のブラウザでも最低限の見栄えを確保する配慮は必要になるでしょう。」と述べましたが、この時はまだ「Gemination」のように最低限の見栄えは確保し(このサイトの場合は全く異なるデザインを適用していますが)、高水準のブラウザ向けに一部のスタイルを上書きするようなイメージを抱いていました。IE6などの古いブラウザを対象に含める以上、新機能を余すところなく活用するというのは困難と思われるからです。

しかし、先日の「CSS Nite vol.44」で、植木 真氏による「アクセシビリティ」の講演を聴き、もしかしたらすぐにでも動き出せるんじゃないかという可能性を感じました。

依存する技術、しない技術

「2004年版 vs 2010年改定版」というテーマで、10つの要点を話されていましたが、JISがどう変わったのかということは基より、全体の構成がどうなっているのかということまで把握することができ、原案と睨めっこしていた私にとしてはとても身になる講演でした。『WCAG 2.0』を踏襲していること、あえて抽象的な達成基準にしていること、達成等級が取り入れられていることなど、JIS改定の詳細については公開されているスライドを音声を合わせてご覧下さい。

JIS X 8341-3 改正原案(2009年1月公開レビュー版)」も併せてどうぞ。

お話の中で特に印象的だったのは『依存しているウェブコンテンツ技術』という章です。今まではJSやFLASHなどが無効にされている場合の配慮として、代替コンテンツを用意する必要がありました。それは最低限のアクセシビリティ対応として当然のことですが、ここで言いたいのは、特定の技術に依存したコンテンツがNGとされているということです。例えば、JSを使用するのであれば「JSが無効の場合の対応」が必須でした。

しかし改定版JISでは、利用者がJSやFLASHを有効にしていることを前提にしても良いという内容が追加されたのです。特定の技術が利用できる前提とすることを「依存している」といい、前提としないことを「依存しない」といいます。つまり「依存している」とする場合は、JSなどが有効になっていることを前提にコンテンツを作成してもよいということになります。

JavaScriptの活用

現在、先行実装は進んでいるとはいえ、ブラウザによって対応状況がことなるため、全ての環境で新機能を活用するというのは難しい状況にあります。articleやheaderなど、新たに追加された要素を使用しても、IE6で悲惨な表示崩れが起こることは目に見えています。しかし、もし「依存している」としてJSの利用を前提にするのであれば、DOM ScriptingによってIE6,7でもHTML5の新要素を扱えるようにすることが可能になります。有名なのはRemy Sharp氏が公開した「html5.js」というライブラリです。

以下のようにIE向けに適用するだけで済みます。

<!--[if IE]>
<script src="html5.js" type="text/javascript"></script>
<![endif]-->

つい最近までは、このような後方互換のための対応をしても「JSが無効にされていたら元も子もないだろう」という話になってしまい、結局現実的な妥協案にせざる終えない状況にありました。しかし、改定版JISで新たに追加された「依存」という規定によって、新たな展開が期待できるのではないかと思っています。ただし、それには『アクセシビリティサポーテッド』を満たしていることが大前提となります。

アクセシビリティサポーテッド

アクセシビリティサポーテッドとは何ぞやということになりますが、簡単に言えば作成したコンテンツが標準仕様に沿っていて、利用するユーザーがアクセシブルにコンテンツを利用できるのかどうかということです。それには、ブラウザなどのユーザーエージェント、スクリーンリーダーや音声ブラウザなどの支援技術に対して適切なサポートがなされているかということまで含まれます。これについて「アクセシビリティ・サポーテッドという考え方|ウェブユーザビリティ向上を支援するWebsite Usability Info」で非常に分かりやすい説明がされているので引用します。

  1. Webコンテンツ自体が、標準仕様(WCAG 2.0 や JIS X8341-3)で定められたアクセシビリティに優れた方法で制作されていて、
  2. ユーザーエージェント(Webブラウザなど)や支援技術(スクリーンリーダーや音声ブラウザなど)がそのアクセシブルな制作物(コンテンツ)を適切に理解、解釈、出力できて、
  3. ユーザーがWebコンテンツをアクセシブルに利用することができる。

つまり、コンテンツ側の実装技術と、ユーザーエージェント/支援技術側の対応状況の折り合いがついて、初めてアクセシビリティが実現する、という考え方です。

植木氏も話しておられましたが、JISというのはあくまでガイドラインであって、それに適合していることがアクセシブルであるということではありません。標準仕様に適合しても、ユーザーエジェントや支援技術によって差異が生まれてしまうからです。JSなどの実装技術に依存することなく、またIE6などのエージェントなどに縛られることなく、サイトの要件によって、何が必要で、何が不要なのかを臨機応変に対処していくことがこれから求められていくのではないでしょうか。ガイドラインは、あくまで迷った時に立ち返るところとして、また世界共通のルールとして認識することが大切だと思います。そしてその考え方というのは『プログレッシブ・エンハンスメント』に通じるところがあります。

これからはプログレッシブ・エンハンスメント

以前「Progressive Enhancementという考え方」という記事を書きましたが、この考え方がこれからのWebを象徴していると改めて思います。"Progressive"という言葉には「前進する、進展する」という意味があります。前進する為には、まず目的地を決める必要があります。次世代Webの理想像を思い描いてください。そうしたら、そこにたどり着くにはどうしたらいいのかを考えます。今、何をすべきか。私自身はこういうふうに考えて自分の行動に納得しながら日々を過ごしています。このブログだってそうです。なぜなら、目的地が分かってなければ当然たどり着くことはできませんし、適当に決めて効率よく進んだところで、それは間違った目的地に進んでいることになります。

今こそ、次世代のWebへ向かって歩を進める時ではないでしょうか。

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