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Progressive Enhancementという考え方

ここ最近、HTML5を始めとするフロントエンドテクノロジーやプラットフォームに関する話題が絶えません。毎日その動向に注目していないとおいていかれてしまいそうです。Google Chromeを代表する新時代のモダンブラウザ、既存ブラウザのバージョンアップ、そして未だ残り続ける古いブラウザなどのソフトウェア、さらにはモバイルコンテンツの流行、ネットブックの普及、そしてiPhoneを始めとするスマートフォンの出現によって、Webを活用する環境が多様化しています。これを機にWebのあり方についてもう一度見直す必要があるのではないでしょうか。そんなわけで2010年一発目です。

HTML5やJavaScriptなどの標準化が進み、Google ChromeやFirefoxを始めとするWebブラウザが我先にとテクノロジーの進展に努めています。このまま表現力の向上、高速化が進めば、スタティックな文書を閲覧するだけではなく、ダイナミックなWebアプリケーションとして新たなプラットフォームを築く日もそう遠くはないでしょう。Webアプリケーションといえば、2004年頃に公開されたGMailを筆頭に、カレンダーやワードプロセッサなど、様々なアプリケーションがWebブラウザ上で活躍してきましたが、今やネイティブアプリケーションとほぼ同等というところまで技術が進化しているということなので驚きです。

それはつまり、標準技術を基に汎用性のあるアプリケーションをシームレスに開発できる環境が整うことを意味しており、PC、モバイル、家庭用電子機器など、あらゆるデバイスが共通のプラットフォームを持つということになります。そんな中、『Progressive Enhancement』という考え方が注目されてきています。

Progressive Enhancementとは

では『Progressive Enhancement』とはどのような考え方なのでしょうか。

以下、Graceful DegradationとProgressive Enhancement | Web標準Blogより引用です。

ターゲットとするすべてのブラウザーに対し、最低限伝えるべき機能を実装します。その上で、より高水準の環境(ブラウザー)では、高い機能を体験できるように機能強化をおこないます。

つまり情報やサービスへのアクセシビリティを確保し、高水準のブラウザ、デバイスにそれ相応のデザインやインタフェース、技術を実装しようという考え方です。それに対して今まで主流であったのは『Graceful degradation』という考え方です。

Webサイトで表現したい機能を、特定の水準にあるモダンブラウザーに対して提供します。しかし、低水準の古いブラウザーに対しても、同等ではないもののそつのない、または理にかなったかたちで機能を提供します。

クロスブラウザ=どのブラウザでも同じようにするという考え方は、制作コンセプトとして当たり前のものになっています。高水準のブラウザで表示確認を行い、下位ブラウザやデバイスの対応を行うというフローが一般的なのではないでしょうか。

別段、それが悪いということではなく、どちらの考え方もWeb体験をより良く提供しようという前向きなアプローチが取られています。両者の違いは、制作コンセプトにおける観点にあります。前者は、コンテンツありきの考え方で、後者はクロスブラウザありきの考え方です。

では、『Progressive Enhancement』という概念が広がり始めた背景には何があるのでしょうか。文頭でも述べましたが、Webを活用する環境が多様化したことにより、全方位的なアクセシビリティ、コンテンツの供給力が何よりも重要になってきているのです。今までのように、クロスブラウザありきで制作しているのでは、実装できる技術が限定されてしまい、新しい技術の恩恵を受けられません。

また、あらゆるデバイスの基盤技術がWeb標準に統一化されていく中で(もちろんデバイスごとにカスタマイズする必要はありますが)、見栄えやふるまいに重きを置くのはスマートなやり方とは言えません。『Progressive Enhancement』は、コンテンツそのものに重きを置き、Webの本来の能力を最大限に生かそうという試みなのです。Tim Berners-Leeが掲げた「広くあまねくアクセシブルなWeb」がようやく実現に向けて走り出したということでしょうか。

次回から『Progressive Enhancement』の考え方に基づいて、技術的な観点からWebのあるべき姿について考えていこうと思います。

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